パレポリと言葉だけきくとまるで女子中学生が食べている小粒のおかしみたいですが、どっこいどすこいプログレです。しかも異端児イタリア。プログレといえども、「知的」というよりは「野蛮」、「緻密」というよりは「豪放」といえましょう。展開がもうかな…
開けた窓から絵の具のように青い空、すこしの蜃気楼、その向こうに飛行船。揺れるカーテン、炭酸の泡沫が浮かんでるみたいな風。しゅんしゅんとポットが湯気を吹く音、彼のコーヒーと彼女の紅茶が待ちかねて香っている。そんな、美しい季節の中のちいさな生…
ひとことで呼ぶなら「花さかじいさん」。目につく方々に春をまき散らしてねり歩くような気前の良さに溢れた大ポップアルバム。 前作「Skylarking」制作過程でのフラストレーションから解放されたかのように、とにかく多幸感に満ちています。メロディ、リズム…
このアルバムを聴くと、俳句の「水ぬるむ」という春の季語を思い出します。張りつめていた緊張がふっと融けるときの心地よさに満ちている。最大限良い意味でのルーズさとでもいえましょうか。ガチ作り込み系ポップスの究極はSteely Danの「Aja」かXTCの「Sky…
音楽の中には聴くTPOをある程度限定するものもあると思います。仏道修行するときにマーズ・ヴォルタを聴いたりはあんまりしません。それでいくと、このアルバムはナイトクルージングのデッキ以外のどこで聴けばいいんだろうという気にさせられます。ムーディ…
甲殻類がこわい。食べ物の好き嫌いという話ではなくて、単純にその姿かたちがサイエンスフィクションすぎてこわい。大阪の海遊館にあるタカアシガニの水槽はまったく目玉スポットでもなんでもなく、ただただ数体がこちらを向いてたたずんでいるだけなのです…
萩尾望都の超名作「ポーの一族」に登場する主人公・エドガーは、見た目は14歳の美少年ながら実は永久の時に囚われたバンパネラ=吸血鬼で、長い長い時をさまよいながら渡り歩いている。一万年を閉じ込めた氷山のように厳格で、老成しきった印象を受ける一方…
月あかりが町じゅうぜんぶを銀箔のモノクロにしてしまった下で、裏道にアコーディオンを抱えた女が立っている。聞けば、女はこの裏町の活動弁士だという。お月さまやお星さまが窓ごしに見てきた、いろんな昔ばなしをたくさん知ってるんだよ。おひとりさまだ…
昨日に引き続いてブラジルもの、「ブラジルの声」ミルトン・ナシメント。まばたきの瞬間頭突きされそうな、ものすごい顔ジャケですね。クリムゾン・キングの宮殿とお見合いをさせたくなる。 ぼくは漫画家・五十嵐大介の作品が大好きなのですが、ミルトンの音…
ブラジル音楽においては「サウダーヂ」という感情の表現がキーになるらしい。和訳すると「郷愁」に近いところなのか、あこがれを含んだなつかしさというか、コレクトな日本語があるわけではなさそうなのですがどうやらそんな感じぽいです。 さてポルトガル語…
もう曲ならびが壮観すぎる。「14番目の月」「中央フリーウェイ」「天気雨」「避暑地の出来事」と、70年代日本の夏がまるごと詰まっているかのよう。海へドライブするすべての車で聴かれてたのでは…とすら考えずにはいられません。1986年生まれの身としてはこ…
2010年のフジロックで見たAtoms For Peaceは、なぜかトリコロール柄のはちまきを締め、アンガールズ風に着こなしたタンクトップ姿で奇天烈音頭にいそしむトム・ヨークさんの姿が印象的でした。ヒキヲタの最高昇華形態といえるであろうその音圧はとてつもなく…
聴いているだけで胸毛が生えてきそうな暑苦しさが売り*1のイタリアン・プログレ一門において、明らかに異質なファンシーさをかもしだすバンド。名前もPがたくさんついててなんだかかわいらしいですね。ジャケットのほうも、手塚治虫のスパイダー(おむかえで…
薄い薄いページを一枚ずつ丁寧にめくり、読み聞かせるように歌う。ところがその相手はこちら側、聴き手ではなく、彼女が携えたギターなのかもしれない…そう思いついたとき、どきっとしてしまいました。少女の鍵つきの日記、あるいは密やかなお人形遊びをほん…
ギターケースとぺらぺらのボストンバッグだけを抱えて、ま夜中、無人の交差点で街灯を横切ってゆく女の子の姿が浮かんでくる。毎日バイトしながら詩を書いたり、油絵をかじったり、ジャズシンガーのまねごとをしてみたりなんかもして、うまいねなんて言われ…
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