011.佐藤奈々子 / Sweet Swingin' (1977)

スウィート・スウィンギン(紙ジャケット仕様)


音楽の中には聴くTPOをある程度限定するものもあると思います。仏道修行するときにマーズ・ヴォルタを聴いたりはあんまりしません。それでいくと、このアルバムはナイトクルージングのデッキ以外のどこで聴けばいいんだろうという気にさせられます。ムーディーもムーディーなのです。


スウィングジャズやボサノバをベースにした演奏をバックに、マリリン・モンローをすこし黒く塗ったような声が昔の思い出をぽつぽつ語るみたいに歌っています。あくまで日本語詞なのもすてきなところです。佐藤奈々子さんはこのとき22歳とかだそうなのですが、いったいどこでこんなカンパリのような歌い方を見つけてきたのでしょうか。徹底的にしなを作っているのに下世話でない。おさえにおさえたアレンジの妙もあるでしょう。佐野元春との共作らしいです。佐野さんはあまりちゃんと聴いたことがないのですけれども、ロケンローラーのイメージ(スプリングスティーンインスパイヤとか)があったのでこんな仕事もしてらっしゃったとは意外でした。


○フェアウェル・パーティー
ヴィブラフォンの響きが、夜の波面のようです。