2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

015.Osanna / Palepoli (1973)

O

パレポリと言葉だけきくとまるで女子中学生が食べている小粒のおかしみたいですが、どっこいどすこいプログレです。しかも異端児イタリア。プログレといえども、「知的」というよりは「野蛮」、「緻密」というよりは「豪放」といえましょう。展開がもうかな…

014.土岐麻子 / Debut (2005)

開けた窓から絵の具のように青い空、すこしの蜃気楼、その向こうに飛行船。揺れるカーテン、炭酸の泡沫が浮かんでるみたいな風。しゅんしゅんとポットが湯気を吹く音、彼のコーヒーと彼女の紅茶が待ちかねて香っている。そんな、美しい季節の中のちいさな生…

013.XTC / Oranges & Lemons (1989)

XYZ

ひとことで呼ぶなら「花さかじいさん」。目につく方々に春をまき散らしてねり歩くような気前の良さに溢れた大ポップアルバム。 前作「Skylarking」制作過程でのフラストレーションから解放されたかのように、とにかく多幸感に満ちています。メロディ、リズム…

012.Michael Franks / The Art of Tea (1975)

M

このアルバムを聴くと、俳句の「水ぬるむ」という春の季語を思い出します。張りつめていた緊張がふっと融けるときの心地よさに満ちている。最大限良い意味でのルーズさとでもいえましょうか。ガチ作り込み系ポップスの究極はSteely Danの「Aja」かXTCの「Sky…

011.佐藤奈々子 / Sweet Swingin' (1977)

音楽の中には聴くTPOをある程度限定するものもあると思います。仏道修行するときにマーズ・ヴォルタを聴いたりはあんまりしません。それでいくと、このアルバムはナイトクルージングのデッキ以外のどこで聴けばいいんだろうという気にさせられます。ムーディ…

010.溺れたエビの検死報告書 / アノマロカリス (2013)

甲殻類がこわい。食べ物の好き嫌いという話ではなくて、単純にその姿かたちがサイエンスフィクションすぎてこわい。大阪の海遊館にあるタカアシガニの水槽はまったく目玉スポットでもなんでもなく、ただただ数体がこちらを向いてたたずんでいるだけなのです…

009.Parenthetical Girls / Privilege (2013)

P

萩尾望都の超名作「ポーの一族」に登場する主人公・エドガーは、見た目は14歳の美少年ながら実は永久の時に囚われたバンパネラ=吸血鬼で、長い長い時をさまよいながら渡り歩いている。一万年を閉じ込めた氷山のように厳格で、老成しきった印象を受ける一方…