003.Picchio Dal Pozzo / Picchio Dal Pozzo (1976)

Picchio Dal Pozzo


聴いているだけで胸毛が生えてきそうな暑苦しさが売り*1のイタリアン・プログレ一門において、明らかに異質なファンシーさをかもしだすバンド。名前もPがたくさんついててなんだかかわいらしいですね。ジャケットのほうも、手塚治虫のスパイダー(おむかえでごんす)みたいな小さいおっさんが無数に描かれ、「これは珍味ですよ」と言わんばかりで期待が高まります。


いわゆるプログレ的ゴリリズムは控えめ、カンタベリーやレコメンの系列に近い音づくりをしています。シルキーなエレピのきらめきやあくびのような管楽器の音が牧歌的ですらあるのですけれど、のほほんとしながら実はとても緻密に作り込まれ飽きさせません。M3「Seppia」では思い出したようにファズベースを10分ほど暴れさせてみたりする一方、ラストのM8「Off」は印象派のごとき淡い光が溢れるようなアンサンブル。春の田園風景とラーガ宇宙をワープで行き来している心地です。「引き出しの多さ」と「散漫」は紙一重だと思うのですが、このアルバムはよい成功例ではないでしょうか。


○Cocomelastico
ジャズ風の演奏がまどろむように進むのですが、気づいたら聴いてしまっています。オモテ・ウラ拍を左右交互にぺ・ぽ・と鳴らす管楽器がアイデア賞。ゆらゆらと時間感覚が吸い込まれるようです。

*1:イメージです。実際の完成品とは異なる場合があります。