007.Milton Nascimento / Minas (1975)


ミナス


昨日に引き続いてブラジルもの、「ブラジルの声」ミルトン・ナシメント。まばたきの瞬間頭突きされそうな、ものすごい顔ジャケですね。クリムゾン・キングの宮殿とお見合いをさせたくなる。


ぼくは漫画家・五十嵐大介の作品が大好きなのですが、ミルトンの音楽、特にこの「ミナス」は五十嵐氏のマジックリアリズム的な世界と繋がっている気がしてなりません。ソウルフルどころかシャーマニックなとんでもない歌の持ち主で、声を発するたびに口から極楽鳥が飛び、足跡からはコロポックル的なものがポコポコ生まれてくるんじゃないかという幻想を抱かせるのです。熱く砂っぽい空気の下、精霊を連れて歩く男の朗々とした祝詞が聴こえてきます。ビートルズノルウェイの森」のカバーも入ってるのですが、絶対ノルウェイじゃない感じになってる。


アンサンブルにはさまざまな楽器が使われていますが、中でも特徴的なのはサックスやフルートをはじめとした管楽器です。野鳥のさえずりのように歌のメロディに囚われることなく自由に飛んできて、濃厚な世界につかの間与える色彩と解放感にはっとさせられます。リズムもパルチード・アルト他のブラジリアンリズムを駆使し、かなり多層的で複雑怪奇。特にM7「Trastevere」以降はずぶずぶ熱帯雨林の奥に引きずり込まれるようで、フリージャズに近い曲想のものも。電気・生楽器の混成部隊を統率しながらもポリフォニックに鳴らす感じはフランク・ザッパにも似ています。そういえば、ザッパさんも寝起きに悪い顔ジャケが多いよなー


○Saudade Dos Aviões da Panair (Conversando No Bar)
やおよろずの祭りっぽい雰囲気。だんだん集まってくる感じがよいです。水は酒に、灯は星になる。